腕枕で手首が動かなくなった患者さん

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腕枕で手首が動かなくなった患者さん

2020/07/02

ある患者さんが家でうたたねをしていて起きたら急に手が動かなくなってびっくりして病院に行ったとのことでした。

 

タイトルは腕枕でとしましたが人に腕枕をしようがうたた寝をしようがどちらでもこの患者さんのようになる可能性があります。

 

まさにこの写真のように自分の腕を枕にして寝ていたそうです。

約2時間後に起きた時には腕全体が痺れて肘は曲げられたものの手首と指は垂れ下がり。

 

幽霊のかっこうですね。

思うように動かなくなったことに驚いた患者さんはかかりつけ医を直ぐ受診したそうです。

 

手が動かないのは1時間くらいで戻ったとのことでしたが数日間痺れが残ったそうです。

お医者さん曰く

『普通に動かせてるしそれくらい動かせればいい方だ。』

『ある程度の年齢になると100%もとに戻ることはないと思った方が良い。』

『95%くらい戻れば十分ですよ。』

 

とのことでした。

 

患者さんはまだ少し力が入りづらい動作があることと手首を反る動きで少し前腕(肘から先の腕)に若干痛みがあるとのことでした。

疾患名を『橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)』と言います。


下手な絵で申し訳ありませんが

橈骨神経は鎖骨の下あたりから上腕部(肘より上)では内側を通ってくるりと朝顔のつるのようにくるっと回り込んで外側に移動していきます。

 

まさに患者さんが腕枕をしたときにこの腕の内側を頭で圧迫していたようです。

 

ちなみに幽霊のように手首が垂れて上げられなくなることを下垂手(かすいしゅ)と言いますが肘より上部が圧迫されて麻痺しないとこのような状態にはなりません。

 

違う神経ですが肘の内側を間違えて打ち付けて指が痺れた経験がある方だとわかると思いますが基本的に神経は症状が出ているところよりも上部で圧迫や損傷があると考えます。

 

橈骨神経麻痺は15分神経が圧迫されても起こってしまいます。

うたた寝してたら15分なんてあっという間です。

患者さんは約2時間なのでなってもおかしくありません。

 

橈骨神経麻痺はなると完全にもとに戻るのに一般的には1か月から3か月ほどかかると言われています。外傷など明らかに神経を損傷したり切断した場合は手術の適応ですがまずこの場合はそんなことにはならないでしょう。

 

指の間の背側骨間筋などの筋力低下は若干あったもののそんなに深刻ではないと思われるのでおそらく1か月もかからず元に戻るのではないかと思います。

 

お医者さんに元に戻ることはないと言われて不安を抱いていた患者さん。

お医者さんの言葉は症状を抱えてる患者さんにとっては非常に重いものになります。

 

確かに医療に絶対はないし逆になんの見立てもなく安易なことを言うのも問題ですが『戻らない』と言い切るのもちょっと軽率なんではないかと思います。

 

病は気からと同じように元気も気からだと個人的には思うので、希望が回復力の増進に繋がります。

 

話が散らかりましたが明らかな外傷、麻痺が1日以上続くものは除いて橈骨神経麻痺は元に戻ると個人的には思います。ということと言葉も患者さんの回復力に影響するので大切にした方が良いと思うという個人的な見解でした。

 

それではまた。