睡眠不足の危険性と睡眠導入剤

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睡眠不足の危険性と睡眠導入剤

2020/05/31

睡眠不足は危険です

私の記憶では中学生時代に学校の図書館にギネスブックがあって面白くて見た記憶がありましたがギネス記録の項目に不眠の記録があったように思いますが現在は『眠らない時間の記録』は採用されなくなったそうです。

 

やる人がいなくなったというよりは睡眠不足があまりにも危険だからではないかということを睡眠科学者であるカリフォルニア大学のマシュー・ウォーカー教授によると(『睡眠は最強の解決策である』より)

 

睡眠不足の危険性を項目で記載します。

・健康な人でも19時間連続して起きていると法律上の酔っぱらい運転と同じくらいパフォーマンスが低下する。

 

 

・睡眠不足は記憶を司る海馬の脳細胞の中にある学習に関連した遺伝子にダメージを与える。

 

 

・若いころからの慢性的な睡眠不足は、アルツハイマー病のリスクが飛躍的に高くなる。

 

 

・日本の調査でも4,000人の男性労働者を対象に行いました。14年の間に睡眠時間が6時間以下だった人は、6時間以上寝ていた人に比べて1回以上の心停止を経験するリスクが4~5倍上昇する。

 

 

・慢性的に睡眠時間が6時間以下の人は、Ⅱ型糖尿病を発症する率がはるかに高かった。

 

などなど研究や調査をもとに行ったデータをあげるときりがいないのですがとにかく睡眠不足が及ぼす悪影響は多岐にわたり百害あって一利なしとしています。

 

またこの著書では慢性的に睡眠不足の人は睡眠不足だということに気づきづらいそうです。

 

もちろん今までで知っていたこともあったのですが個人的に一番気になったところがありました。


現在出回っている睡眠薬は自然な眠りには繋がらない。

というのは当たり前じゃんという方もいるでしょうが自然不自然というよりも想像以上に害のある可能性を示していました。

 

もちろん睡眠薬を飲めば眠れます。

ただし自然に寝た状態とは大きく違います。

 

睡眠薬は、今も昔もアルコールと同じ働きをするということだ。

そのためアルコールと同じ働きをするということだ。

そのため、アルコールと同じ「鎮静剤」に分類される。

睡眠薬はただ脳の外側を眠らせているに過ぎない

 

表面だけというのは簡単に言うと寝ている間に表れるいちばん深い眠りがないということになります。つまり一見薬でぐっすり眠れている感覚があるそうですが『ぐっすり』どころか浅い眠りになるということです。

続きます

 

 

問題はそれだけではない。

睡眠薬は、不眠症のリバウンドも引き起こす

睡眠薬を飲む以前よりもひどくなっているのだ。

リバウンドの原因は睡眠薬への依存だ。

(中略)つまり睡眠薬が効きにくくなるということだ。

 

 

脳に薬物耐性ができてしまうということです。

来られている患者さんでも睡眠薬、睡眠導入剤を処方されている方が多くいらっしゃるので気になるところでありますが、そもそもあらゆる薬は脳や体から分泌されるホルモンを減少させたり促進させたりするので不自然なことです。

 

その不自然な状態が長期間続くと薬が無くなったときにその機能が大幅に変容してしまう可能性があるのでまた正常に戻すまで時間と苦しみが増える可能性があります。

 

状況に応じてですが。薬は溺れた時の浮輪に例えられることが多くあります。

溺れている時は浮輪は必要ですが無事足がつくところまでたどり着ければ浮輪の必要性はなくなるわけです。

 

睡眠薬だけではなく薬全般はそのように使えるのが望ましいですね。

 

前置きが長くなりすみません。

ここからが是非注意してほしいところです。

 

自然な眠りは新しい記憶を脳に定着させる。(中略)

近年、その点に注目した動物実験が行われた。(中略)

アンビエン(睡眠薬)で眠ったグループは、最初の学習でつくられたつながりの50%が失われたのだ。つまりアンビエンの眠りは、記憶を強化するどころか、むしろ記憶を消す働きをするということだ。

 

 

 

さらに

 

 

カリフォルニア大学サンディエゴ校のダニエル・クリプケ医師によると、

処方された睡眠薬を飲んでいる人は、それ以外の人に比べ死亡リスクが高く、さらに癌の発症リスクも高くなるという

 

 

本当なのかとおもいましたが、

そのあとすぐに著者であるマシュー・ウォーカーもクリプケ医師もどの製薬会社とも利害関係はないから睡眠薬の研究でどんな結果が出ようが経済的に得をするわけではないとあったのであくまでも研究の結果であるということが分かります。

 

結果の一部としては

2年半という期間で睡眠薬を飲んでいた人は、飲んでいない人に比べて死亡リスクが4.6倍も高かった。

 

さらに死亡リスクが服用の頻度にも比例していたそうで年間132錠を超える人は睡眠薬を飲んでいないが同じような条件の人と比べ、死亡リスクが5.3倍になったそうです。

 

この類の研究は世界で15以上存在していてどれも睡眠薬を服用する死亡リスクが高くなるという結果になっているそうです。

さらに2年半で癌のリスクが30%高くなり、ラットやマウスの動物実験でも癌のリスクは高くなったそうです。

 

ただ睡眠薬と癌のリスクの関係を研究するのは倫理的な問題もあり試験が危険すぎるのでなかなか追及できないのが実情のようです。

 

 

まとめると睡眠薬は睡眠の効果を無効化するだけでなく

起きていた時に学習した記憶を消すばかりか死亡率があがり、寝れば上昇する免疫機能も低下するばかりか癌のリスクを上げる危険性もあるということです。

 

とにかく上記したように睡眠薬に依存性が出ている方は難しいと思いますが医師との相談をしつつ減薬をしていった方が良いのではないかと思います。

あくまでも溺れた時の浮輪ということを忘れないようにしたいものです。